岩手県で生まれた茜染め。その茜染めは、紫根染めと合わせて「南部絞」ともよばれています。ルーツは江戸時代。東北の南部家という一族が、茜染めと紫根染めを推奨し、朝廷や幕府に献上される特産物となったのです。茜染めはアカネ科の蔓性多年草の根から得られる、赤い染料を使います。根が赤いので、茜(あかね)と呼称されているといわれており、日本ではもっとも古くから用いられてきた手法です。3世紀には茜染めが行われており、飛鳥から奈良時代は「緋の時代」といわれるほど、茜染は広く定着していました。国産の茜は現在、たいへん貴重ですが、南部地方ではわずかながら今も茜を用いて、絞り染めをやっています。絞りの技法はいくつかあり、「括り絞り」や布地を屏風だたみにして両面から板をあて強く絞って染める「板締め絞り」、木綿糸で縫ったあと、縫い糸を引き抜いて染める「縫い絞り」などが存在します。